第18章 "鉄鋼材料の試験と検査について(2)"

(1)結晶粒度試験法

結晶粒度の大小は疲労強度など機械的性質を左右する因子の一つです。

この結晶粒度試験方法には、鋼のオーステナイト結晶粒度試験方法(JIS G0551)とフェライト結晶粒度試験方法(JIS G0552)が規定されています。 オーステナイト結晶粒度の場合は、焼ならし、焼なまし、焼入れ、浸炭その他の目的で変態点(Ac3、Ac1又はAcm)以上又は固溶化熱処理温度に加熱したとき、その温度及び保持時間によって定まる結晶粒の大きさです。また、フェライト結晶粒度の場合は、炭素含有量0.2%以下の鋼について規定をしています。

いずれの場合も原則として、100倍の顕微鏡倍率によって結晶粒の大きさを観察し、JIS粒度標準図又は図41に示す結晶粒度測定用スクリーンと比較し、粒度番号で表します。100倍で判定が困難な場合は、50又は200倍を用いることができ、50倍の場合は判定結果の粒度番号を2番低位とし、200倍の場合は、2番高位とします。

なお、粒度番号が5以上の鋼を細粒鋼、5未満の鋼を粗粒鋼と云っています。また、1視野内において最大頻度を有する粒度番号と3以上異なったものが偏析し、それが面積率で20%以上を占めたもの、又は視野内において3以上異なった粒度番号の視野が存在したものを混粒と云います。

(2)鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法(JIS G0555)

鋼中に存在する非金属介在物は、熱処理により欠陥の発生や使用中の損傷原因となる場合があります。したがって、鋼中に存在している介在物の種類や分布、量など調べその清浄度を判定する試験方法が規定されています。

試験片は圧延方向又は鍛錬方向に平行に、その中心線を通って切断採取し、その面を検鏡面とします。琢磨仕上げによって鏡面とした後、ノーエッチングの状態で検鏡します。縦横20本の格子線が入った接眼レンズを用い、400倍で観察します。

原則的に60視野をランダムに観察し、介在物によって占めた格子点中心の数nを数え、清浄度として算出します。

d=(n/p×f)×100

(d:清浄度、p:視野内の総格子点数、f:視野数、n:f個の視野における介在物によって占められる格子点中心の数)

介在物の種類には、加工によって粘性変形したA系(細長状で硫化物のMnS、けい酸塩のSiO2など)、加工方向に集団で不連続的に粒状に並んだB系(Al2O3)、また、粘性変形をしないで不規則に分散したC系(粒状酸化物)の3種類があります。

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