第13章 "サブゼロ(深冷処理)"

(1)サブゼロについて

サブゼロ処理は深冷処理とも呼ばれているもので、0℃以下の温度に冷やす処理です。

焼入れした鋼中には多少(10〜30%)に関わらず残留オーステナイトが存在しています。このオーステナイトは置狂いや置割れの原因となるばかりでなく、硬さの低下もきたしています。したがって、0℃以下の温度に冷やし、人為的にマルテンサイト化させる必要があります。サブゼロ処理はその1つの方法です。寒剤にはドライアイス、炭酸ガス、液体窒素などがあります。ドライアイスとアルコール(メチル、エチルどちらも可)で約−80℃、炭酸ガスで−130℃、液体窒素では−196℃まで冷やすことができます。

−80℃程度までのサブゼロを普通サブゼロ、−130℃以下の温度を超サブゼロと云い、温度が低い方が耐摩耗性向上には効果的です。

処理時間はその温度になってから30分程度で良く、保持後は空冷でも良いが、水中か湯中に投入することがベターな方法です。これをアップ・ヒルクエンチングと云っています。処理後は所定の焼戻しが必要です。

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